相沢陽子さん  秋田経済研究所・研究員(平成4年卒)


本年2025年は、「男女雇用機会均等法」の成立から40年、「女性活躍推進法」の成立から10年の節目にあたる。両法の後押しを受け、女性の働く環境は整備が図られ、女性の労働参加が進んだものの、依然として管理職比率や賃金では男性との差異がみられるなど課題が残っている。
秋田県でも、女性の労働参加が進んでおり、結婚・出産・育児などのライフイベントを経ても就労を継続する傾向みられるが、家事の負担は女性に偏り、仕事と家庭を両立する難しさがうかがえる。また、就業者の高齢化により、県内企業では若年女性を確保する重要性が高まっている。


1 指標からみる県内女性の就労実態と変化

(1)就業者数、就業率

a 就業者数
総務省「国勢調査」によると、2020年の秋田県の女性就業者数は212,843人となり、10年前の2010年(223,386人)との比較では10,543人(4.7%)減少した(図表1)。県内の就業者数全体(463,894人)に占める女性の割合は45.9%となり、2010年(44.4%)との比較では1.5ポイント上昇した。
2020年の県内の女性就業者について、年代別構成比をみると、40~49歳(22.5%)、50~59歳(22.6%)が他の年代を上回り、ボリュームゾーンとなっている(図表2)。2010年との比較では、65歳以上(17.3%)で7.8ポイント、60~64歳(10.9%)で1.9ポイント、40~49歳で0.6ポイント、それぞれ割合が上昇した。全国と比較すると、本県は、65歳以上で3.5ポイント、60~64歳で2.8ポイントそれぞれ上回った一方で、20~29歳(10.1%)では4.4ポイント下回った。県内では、女性就業者の高齢化が進んでいる。


b 就業率
2020年の本県の女性の就業率(15歳以上人口に占める就業者の割合)は全国平均(46.5%)とほぼ同じ46.4%となり、2010年(43.4%)との比較では3.0ポイント上昇した(図表1)。男性の就業率は2010年から横這いの62.8%となっており、男性と女性の就業率の差は19.4ポイントから16.4ポイントに縮小した。県内では、労働力不足が深刻化するなか、女性の活用が進んでいる。
次に、2020年の女性の就業率を年齢階級別にみると、25~54歳では80%近傍で推移し、他の年齢階級を上回った(図表3)。2010年との比較では、すべての年齢階級で就業率が上昇し、上昇幅は大きい順から、60~64歳(61.5%)で19.0ポイント、55~59歳(75.4%)で11.6ポイント、35~39歳(79.3%)で7.7ポイントとなった。
また、2020年の年齢階級別就業率を配偶関係別にみると、就業者全体の20.7%を占める「未婚者」では25~39歳で80%を超え、25~29歳(83.9%)をピークに年齢階級が上がるにつれて低下している(図表4)。2010年との比較では、就業率はすべての年齢階級で上昇し、上昇幅は50~64歳で二桁となり他の年齢階級を上回った。一方、就業者全体の63.8%を占める「有配偶者」の就業率は、40~44歳(81.2%)、45~49歳(81.7%)で80%を超え、他の年齢階級を上回った。2010年との比較では、就業率はすべての年齢階級で上昇し、上昇幅は15~29歳、35~39歳(79.2%)、55~64歳で二桁となり他の年齢階級を上回った。


県内では、女性の就業率は、2010年と比較し、配偶関係を問わずすべての年齢階級で上昇し、特に55~64歳で上昇が顕著であった。また、39歳以下の有配偶者では、結婚・出産・育児といったライフイベントを経ても就労を継続する割合が高まっていることがうかがえる。

(2)正規雇用比率

2020年の秋田県の女性就業者を従業上の地位別にみると、雇用者(176,422人)が全体の82.9%を占める(前掲図表5)。正規雇用比率(雇用者に占める正規雇用の割合)は54.8%で、全国平均(48.0%)を6.8ポイント上回り、10
年前の2010年(51.3%)との比較では3.5ポイント上昇し、全国順位も10位から4位へと上昇した(図表6)。男性の正規雇用比率(83.6%)は2010年(83.1%)から0.5ポイント上昇するにとどまったため、男性と女性の比率の差は31.8ポイントから28.8ポイントに縮小した


2020年の女性の正規雇用比率を年齢階級別にみると、25~29歳(75.0%)をピークに年齢階級が上がるにつれて低下している(図表7)。
前述の就業率が25~54歳では80%近傍で推移していることを併せると、正規として働いていた女性が出産や育児を機に退職し、育児が落ち着いた頃に再び就労する際には、働き方を正規から非正規へと変えているケースが多いものと推測される。
10年前の2010年との比較では、65歳以上を除くすべての年齢階級で正規雇用比率が上昇し、上昇幅は15~29歳で二桁となり他の年齢階級を上回った。若年女性では、高学歴化により正規雇用を希望する割合が高まっているほか、未
婚化・晩婚化・晩産化により長期的に正規雇用として就業を継続する傾向にあるものと考えられる。


(3)管理職比率

秋田県が実施した「労働条件等実態調査」から、県内の管理職における女性比率を役職ごとにみると、2024年度 は、 課長相当職以上で23.1%、係長相当職以上では26.8%となった(図表8)。9年前の2015年度との比較では、役職ごとの女性比率は、課長相当職以上で6.9ポイント上昇したが、係長相当職以上では0.8ポイント低下した。また、全国との比較では、本県は、課長相当職以上で10.8ポイント、係長相当職以上では5.7ポイント上回った。県内では、全国に比べて、女性登用が進んでいる一方で、係長相当職の若年層で人材の不足などが生じていると思われる。


(4)平均勤続年数と男女間賃金格差

厚生労働省「賃金構造基本統計調査」から、秋田県の女性一般労働者の平均勤続年数をみると、2024年は全国最長の12.6年となり、10年前の2014年(10.9年)との比較では1.7年延び、全国順位も8位から上昇した(図表9)。男性の平均勤続年数(14.2年)は2010年(13.9年)から0.3年の延びにとどまり、男性と女性の平均勤続年数の差は3.0年から1.6年に縮小した。
次に、一般労働者の給与額について、男性を100とした場合の男女間格差指数をみる。2024年の本県の指数は79.5となり、男女間格差は小さい順で全国7番目となった(図表10)。10年前の2014年(74.3)との比較では、指数は5.2
ポイント上昇し、順位も13位から7位へと上昇した。県内では、女性の正規雇用比率の上昇、勤続年数の長期化、管理職比率の上昇が進んだため、男女間賃金格差が縮小したものと推測される。


2 職場の制度と文化両面で「働きやすさ」を


(1)県内の働く女性を取り巻く状況

前述のとおり、県内では、女性の労働参加が進んでおり、結婚・出産・育児を経ても就労を継続する傾向がみられ、その背景としては、女性の働きやすい環境整備に向けた取組みが進んでいることが挙げられる。県内では、女性の活
躍、多様な働き方の浸透、仕事と子育ての両立を図るための環境整備など、「女性活躍推進法」に基づく一般事業主
数は増加傾向にある(図表11)。同様に、女性活躍推進への取組みの実施状況が優良とされる「えるぼし認定」企業数も増加傾向にある。
しかしながら、2010年との比較では、女性の就業率は上昇したものの、正規雇用比率は引き続き30歳以降で低下し、管理職比率や賃金が男性との比較で下位となる状況にも変化がみられなかった。この背景としては、女性が仕事と家庭を両立する難しさが挙げられる。


(2)家事の負担は女性に集中

総務省「令和3年社会生活基本調査」から、6歳未満の子どもを持つ夫・妻の1日の生活時間について、本県の全国順位(2021年)をみると、育児時間では夫(36位)が妻(42位)よりも上位となった(図表12)。反面、家事では妻(3位)は全国上位となったほか、妻と夫(24位)の家事時間の差異2時間57分は、時間の開きが大きい順で全国4番目となった。また、仕事では妻(11位)の全国順位は夫(35位)を上回った。県内では、男性の育児への参画が進んでいる反面、家事の負担は依然として女性に偏っている状況が見て取れる。


家事負担が女性に集中している要因として、職場を含む地域社会では①「アンコンシャス・バイアス」が根付いていること②「働き方の柔軟性」が不足していること、の2点が挙げられる。アンコンシャス・バイアスとは、「子育て中の女性は出張できないだろう」、「男性は育児休業は取らないだろう」などの固定的性別役割の分担意識や、若年層の意見を軽視しがちであるような上意下達的な雰囲気を指す。また、働き方の柔軟性とは、休暇の取得しやすさ、リモートワークやフレックス制度の導入などを指す。
なお、この2点は、全国において女性を中心に若年層が地方から首都圏へ流出する要因の一つとなっている。


(3)「共働き・共育て」ができる職場を

ここで、結婚・出産・仕事をめぐる女性のライフコースについて、国立社会保障・人口問題研究所「第16回出生動向基本調査」から18~34歳の未婚者の回答(2021年)をみる。女性自身の理想、また男性がパートナーに望むライフ
コースでは、「結婚し、子どもを持つが、仕事も続ける」とする割合が、女性(34.0%)、男性(39.4%)いずれも最も高くなった(図表13)。
このように、若年層では性別を問わず「共働き・共育て」が重要視されていることからも、家事負担が女性に偏っている現状は、若年女性にとって「働きづらさ」を感じる要因となっているものと考えられる。県内の女性就業者のボ
リュームゾーンは40~59歳の中高齢層となっている中で、労働力不足にある県内企業では、より長期勤務が望める若年女性を確保する重要性が高まっている。各企業は、これまで以上に男性の家庭参画を推し進め、女性の負担軽減に
繋がるよう、制度と文化両面で「働きやすさ」を実感できる職場づくりが求められる。


3 まとめ

労働力不足が深刻化するなか、秋田県経済の活力を維持し向上させるには、女性の活躍が欠かせない。県内では、「あきた女性活躍・両立支援センター」が、窓口や電話での相談受付、依頼に応じてアドバイザーを無償で各企業に派遣し、女性の働く環境改善をサポートしている。
専門機関の支援を受けながら、経営トップがリーダーシップを発揮し、管理職を中心とする従業員に働きかけて職場の意識改革を図ることで、女性の一層の活躍推進、県内の労働力不足の緩和に繋がるものと期待される。(相沢 陽子)


あきた経済(2025.12)より抜粋